「三矢ワールド」全開と思いきや… 2024.03.18
3月2回目の練習は、三矢先生をお迎えし先生方三人揃ってのご指導でした。
いつものように、30分前に金沢先生に発声練習と曲のおさらいをしていただきました。私は少し遅れてしまったので、練習の撮影も途中からとなりました。現在は、秋のコンサートの選曲も意識しながら、今まで練習した曲をおさらいしています。この日も、ひとつの曲をじっくりというより、まず歌ってみてという練習でした。
練習が終わってから、練習日誌を書いていただいていたバス男さんと三矢先生に、「今日の練習日誌のタイトルは『三矢ワールド全開』にしたかったんですが、そうでもなかったですね」と言うと、三矢先生は「そうなの。じゃ、もっといろいろ言った方よかったかしら」と笑っていました。そして「でもね、みんなからハテナが飛んでくるのよ」と言われたので、私は「それは、みんながちゃんと受けとめてくれているからじゃないですか?今までは、聞いているような顔をして、スルーしてたんですよ」と答えました。実は、思い当たる節があったのです。
私が、三矢先生のコメントで印象に残っているのは、以前練習日誌にも書きましたが、「これは4分音符だけど4分音符じゃないの」という言葉でした。ブラームスだと思いますが、歌のメロディは4分音符で進んでいるのにピアノが16分音符で流れているので、そのピアノのリズムに乗って歌う、ということを三矢先生流にこう言われたのです。私にとってはインパクトがあったのですが、このお言葉を覚えている人がほとんどいませんでした。やはり、スルーしていたということではないでしょうか。
さて、この日の練習でも、似たようなことがありました。「真昼の星」で、同じメロディが3回繰り返しますが、ピアノの伴奏が最初はアルペジオ、2回目は8分音符、そして3回目はなんと三連符です。三矢先生は「ピアノの伴奏が変わっていることを意識して」と言われました。言わんとすることは「4分音符だけど4分音符じゃない」に共通するように思いました。
もうひとつ、「三矢ワールド」を感じたのは、「今日の日はさようなら」です。この曲は、男声が一声なので、全体は混声三部合唱になっています。前半は、主旋律がソプラノで、アルトと男声がオブリガートをつけていきますが、後半は男声が主旋律で、女声の二声がオブリガートとなります。後半の女声のオブリガートを、三矢先生は、「女声が一体となって男声のメロディを支えてもらいたいが、実際の私たちの合唱ではそうなっていない」と言われました。確かに、練習動画でその部分を聴いてみると、男声の主旋律を支えるという役割は果たせていないようです。甲州名物「信玄餅」で言うと、信玄餅本体(男声)と黒蜜(ソプラノ)ときな粉(アルト)がうまく絡んでいなくて、それぞれの味や食感がバラバラに感じられる状態です。三矢先生は、あるべき姿を「歌っているのは一人なんだけど、一人から2つの音が聞こえてくる」と表現されました。
そんなことを考えていると、私が何気なく口にした「三矢ワールド」が、実は重要な意味を持っていることに気がつきました。「三矢ワールド」とは、三矢先生独特の言い方で私たちが煙に巻かれてしまうことではなく、「三矢ワールド」という世界があるということなのです。美しい言葉を美しいメロディとハーモニーに乗せる素敵な音楽の世界。そこに音楽の本当の楽しみがある。それを実現するために、ここをこうやってああやってと、いろいろな言葉でご指導いただいているということに気がつきました。
この日は、いろいろな曲にピアノ伴奏をつけて、通しで練習する曲が多かったのですが、やはりいい曲が多いことはわかりました。特に、『心の四季』や『今日もひとつ』の曲は久しぶりに歌ってみると、ぜひコンサートでも歌いたいなと思いました。
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